「ゴルフで見つける、私の”特別”」TVアニメ『空色ユーティリティ』 サックス・中村有里、フルート/ピッコロ・林 愛実による、対談インタビューが公開!

2025/3/20

TVアニメ『空色ユーティリティ』の音楽に迫るインタビュー連載第10回。今回は本作の劇伴を演奏するミュージシャンから、サックス担当の中村有里、フルート/ピッコロ担当の林 愛実のふたりに話を聴いた。普段から同じ収録現場も多く、ふたりでコンサートも開催する間柄の中村と林が、『空色ユーティリティ』にどんな音を吹き込んだのか。木管楽器が持つ魅力、それが劇伴でどう発揮されるのかも含めて語ってもらった。

 

ーーTVアニメ『空色ユーティリティ』の劇伴を演奏するにあたり、作品の情報は事前にどのくらい聞いていましたか?

 

中村有里 収録に入る前からすごく丁寧にご説明いただきました。それこそ「今回の劇伴は『空色ユーティリティ』というアニメで、いつ放送される予定です」という感じで、資料もしっかり見せていただいて。結構珍しいパターンですね。「こんなに教えてくださるんだ」って感動しました(笑)。

 

サックス 中村有里

 

林 愛実 そうだね。私も普段は何も情報がないまま演奏することが多いんですけど、今回はしっかりと作品の説明をしていただきました。ただ今回はあえて資料を読み込みすぎず、譜面を見て感じた作品の雰囲気を想像しながらレコーディングに臨みました。

 

フルート 林愛実

 

ーー譜面から作品の雰囲気が見えてくるんですか?

 

林 そうですね。例えば譜面から「バトルものなんだな」というのもわかるし、今回ですと私のパートは、おそらく女の子たちがおしゃべりしているシーンだろうなと思えるものが多かったんです。なので、作曲家の(daisuke)horitaさんから作品の細かい説明を聞いて腑に落ちました。

 

中村 とにかくhoritaさんのこだわりがすごいよね。レコーディングのときも常に明確なビジョンを持ってディレクションしてくれて。サックスはソロが多いんですけど、譜面にないアドリブをするときも楽曲の完成形を想像しながら吹くことができました。

 

ーーつくづくプレイヤーのみなさんは、その場のディレクションや、ご自身のなかでの想像で音を作っていくわけですね。

 

林 そうですね。各々のイマジネーションが大事なところでもありますし、それをうまく正解に当てはめてくれるのはhoritaさんたちのすごいところです。

 

ーーなるほど。ちなみに今回はどなたからレコーディングされたんですか?

 

林 私から録りました。有里ちゃんの音を聴かずに、彼女ならきっとこういう演奏をするだろうなと想像しながら吹きましたね。

 

中村 そうそう、例えば愛実が先に録っていれば私は彼女の音を聴きながら録れますけど、やっぱり最初は打ち込みの、機械的な音を聴きながらの収録になるので全員のイマジネーションが求められる現場ですよね。

 

ーーほかの楽器を想像するということが大事なわけですね。

 

林 そうですね。だからこそ面白いというのもありますよ。リズム系から徐々に活き活きしてくるというか、もともと打ち込みだったものに、どんどん命が吹き込まれていく。それをhoritaさんがいちばん実感していると思いますし、彼がすごく楽しそうにしている姿を見て、私たちも「面白いな」って。ここまで私たちの演奏に反応してくださる作曲家さんもなかなかいないと思いますし、誰よりも音に命が吹き込まれることに対して喜びを感じている人だと思います。

 

中村 たしかに。しっかりとレコーディングに参加してくださっている感じですよね。

 

林 うん、常に現場にいてみんなの音を聴いてる。すごくテンションの高い現場でした。

 

中村 間違いない。現場の空気がよかったよね。

 

ーーまた劇伴の収録となると曲数もさることながら、ジャンルもさまざまですよね。本作でいえばクラシックなものから、ロックやジャズなどもあって。そういったアプローチの説明も当日の現場で知るわけですか?

 

林 そうですね。ただ、この曲はサックスが映えるようにしようとか、フルートが映える曲にしようとか、事前に制作サイドで内容を話し合ったうえで説明してくれるので、私たちはそこまで悩まずに演奏できるというのはあります。

 

中村 あとは、デモの段階だと、運指の関係などで再現不可能なフレーズもたまにあるので、そういうときは相談だったり、別な提案をさせていただきますね。ただ基本的には作曲家さんが作ったものに乗っかりつつ、そこからよりいいもの、楽器特有の美味しい表現を出せたら良いなと思っています。

 

林 horitaさんもこちら側からの提案がすごく好きなんですよね。いつも「譜面通りじゃなくていいですよ、もっと何かありますか?」って言ってくださる。あとは、自分たちで「NGテイクかな?」と思ったものでも「人間味があっていい!」って採用してくれたりして。

 

中村 あ、それ私も言われた。

 

林 きっと、声優さんがキャラクターに命を吹き込むのと同じようなものを音楽家にも求めている感じがしますよね。こう、生きている感じが欲しいんだなって。

 

ーーまた、サックスとフルートにおいても、楽曲ごとの楽器選びというものはありますか?

 

林 ありますね。材質によって音も変わります。あとは今回ピッコロも使用しているんですが、本来、ピッコロの音域だけど、フルートでも出せるものだったら、まずはフルートで一回吹いてみて、そのあとピッコロでも吹いてみて「どっちがいいですか?」と聞きながらやってました。フルートに比べてピッコロはツンツンした音になるので、どっちのニュアンスが楽曲に欲しいのかというのは試しつつでしたね。

 

ーー改めてフルートとピッコロの違いというと、やはり音域になりますか?

 

林 そうですね。音域も違いますけど、楽曲的にはフレーズの輪郭をすごく際立たせるのがピッコロという感じですね。フルートはサックスとかいろんな楽器のなかに入り込むことができて、中和させる音かなと思います。

ーーフレーズをどう聴かせたいかで楽器が変わるわけですね。

 

林 交わるような音色なのか、それとも先頭切ってはっきりさせていく音色なのか、そこがいちばん大きな違いです。

ーーまた中村さんのサックスに関してはいかがですか?

 

中村 サックスの場合はマウスピースのセッティングで音色がガラリと変わりますね。なので普段からマウスピースは3種類持ち歩いています。例えばロックとか激しめなポップスをやるときにはメタルのマウスピースを使って、オーケストラのなかに混さるようなクラシカルとか吹奏楽、柔らかい音が求められるときはエボナイトのマウスピース。あとはジャズのような、あまりバキバキさせたくないけど渋みが欲しいときに使うマウスピースと3種類あって、今回でいうと、結構はっちゃけるところが多かったので、いちばんギラギラした音が出るマウスピースを使うことが多かったです。

 

ーーなるほど、マウスピースひとつとっても変わるわけですね。

 

中村 そうですね。音はだいぶ変わるので、それこそフルートとかと一緒にやるときはあまりバキバキしないように、別のマウスピースを使うようにしています。

 

ーーまた、サックスも種類が豊富ですが、そこもセレクトしていくのですか?

 

中村 サックスはテナー、アルト、ソプラノと種類もありますけど、そこは事前に指定されることが多いので迷うことはないですね。どちらかというと音の種類よりもニュアンスが合っているかを考えながら吹きます。あとはマイクですね。

 

林 そうだね。マイクによって聴こえ方がかなり変わるので今回も試行錯誤されていました。

 

ーーそうした試行錯誤の末に完成した劇伴が現在アニメで流れているわけですが、こうした話を聞いたうえでアニメを観ると、また劇伴の聴こえ方も変わってきそうですね。


林 そうですね。これを読んでからアニメを観返していただければ絶対面白いと思いますよ。私のフルートと有里ちゃんのサックスでは使われるところが違うし、結構シーンの雰囲気も違うと思う。「こういうシーンは有里ちゃんだ、ああこっちは林ね」みたいな。

 

ーーなるほど、ちなみにhoritaさんは「林さんのフルートと中村さんのサックスは対になるモチーフを意識しています」とのことでした。

 

中村 やっぱり、そうだったんだ(笑)。

 

林 まさにそういうコントラストを我々が担当しているのかなって二人で話してました(笑)。

 

ーーでは最後に、『空色ユーティリティ』を楽しんでいるみなさんにメッセージをお願いいたします。

 

林 私が担当するフルートは、『空色ユーティリティ』のなかでもリラックスできる部分で流れてくる音色だと思います。とにかくフルートのよさがすごく伝わる楽曲が多いので、フルートの音色を感じていただきつつ、有里ちゃんとのコントラストも楽しんでいただければと思います。


中村 今回、すごく活き活きとした現場で演奏をさせていただきました。ミュージシャン全員の個性が音に、それこそ映像にも出てるんじゃないかなって思います。ミュージシャンたちが楽しんで演奏してるような雰囲気も感じながら作品を楽しんでいただけたらうれしいですね。

 

林 そうだね。私も女の子たちのおしゃべりを想像して録っていたので、それも映像に表れているんじゃないかなって思います。

 

中村 サントラも聴いてほしいですよね。そして、いずれはコンサートもやりたいな(笑)。

 

林 やりたい! アニメを見てゴルフを始める方もいらっしゃるだろうし、ゴルフに限らず、新しいことにチャレンジする方もいらっしゃるかもしれないですよね。そんな幅広い層の方々に楽しんでいただきたいですね。サントラ、必聴です!

 

TEXT BY 澄川龍一

 


 

TVアニメ「空色ユーティリティ」楽曲 配信中

「空色ユーティリティ」キャラクターソング01

青羽美波(CV:高木美佑)「My treasure!」

Streaming & Download:https://lnk.to/my_treasure

 

「空色ユーティリティ」キャラクターソング02

茜遥(CV:天海由梨奈)「Play well!!!」

Streaming & Download:https://lnk.to/play_well

 

「空色ユーティリティ」キャラクターソング03

星美彩花(CV:後藤彩佐)「Have a good Game」

Streaming & Download:https://lnk.to/HaveagoodGame

 

「空色ユーティリティ」挿入歌

高橋洋樹「Zubatto☆ショット 首ったけ!!!」

Streaming & Download:https://lnk.to/Zubatto_Shot_Kubittake

 

商品情報

2025年2月19日(水)発売

「空色ユーティリティ」キャラクターソング・ミニアルバム

PCCG.02429 / 3,300円(税込)

*ご購入はこちら:https://lnk.to/sorairo_HAMCD

 

2025年3月26日(水)発売

「空色ユーティリティ」オリジナル・サウンドトラック

PCCG.02431 / 4,400円(税込)

*ご予約/ご購入はこちら:https://lnk.to/sorairo_OST

 

TVアニメ「空色ユーティリティ」作品情報

TOKYO MX、テレビ神奈川、MBS、BS朝日ほかにて放送中!

 

CAST

青羽美波:高木美佑

茜遥:天海由梨奈

星美彩花:後藤彩佐

秋名泉美:花守ゆみり

田所昌夫(マサ):井上和彦

田辺長介(チョウ):堀内賢雄

田中哲弘(テツ):森川智之

 

STAFF

監督・キャラクターデザイン:斉藤健吾

シリーズ構成:佐藤裕

脚本:佐藤裕・皐月彩・水月秋

原案協力:望公太

色彩設計:武田仁基

美術監督:工藤義隆

撮影監督:呉健弘

編集:重村建吾・佐藤彩香

音楽・音響監督:daisuke horita

音楽制作:Yostar Pictures Sounds・ZENTA STUDIO

アニメ制作:Yostar Pictures

 

INFORMATION

HP:https://anime-sorairo-utility.com/

X:https://twitter.com/@sorairo_utility

YouTube:https://www.youtube.com/@sorairo_utility 

Instagram:https://www.instagram.com/anime_sorairo_utility/ 

TikTok:https://www.tiktok.com/@sorairo_utility

©空色ユーティリティ

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