「ゴルフで見つける、私の”特別”」TVアニメ『空色ユーティリティ』 ギター・ZENTA、ベース・大竹紗英、ドラム・遠藤勝彦による、対談インタビューが公開!

2025/3/13

TVアニメ『空色ユーティリティ』の音楽に迫るインタビュー連載第9回。今回は本作の劇伴から、ギターとベース、ドラムのバンド隊に話を伺った。本作ではエンジニアも兼ねるギタリストのZENTA、さまざま劇伴やアーティスト演奏などでも知られるベーシストの大竹紗英、ドラマーの遠藤勝彦の3人に、『空色ユーティリティ』の音楽の秘密に迫った。

 

ーー改めて本作のオファーをいただいた段階では、みなさんは『空色ユーティリティ』についてどの程度説明を受けましたか?

 

ZENTA 事前にどういう作品であるかというのは、ミュージシャンは具体的にはあまり聞かないことが多いですよね。楽曲についてもそうで、譜面やデモはもらうんですが、だいたいは演奏している最中に「この曲に対してのこれはこういうイメージだから、こういうふうにしてほしい」みたいなやり取りがあるぐらいで。

 

ZENTA

大竹紗英 そうですね。

 

大竹紗英

遠藤勝彦 今回はレコーディングの段階で説明がありましたね。

 

遠藤勝彦

 

ZENTA 作曲家の(daisuke)horitaさんが説明してくださったんですけど、「この曲は一体どこで使うんだろう?」というのはあったかな(笑)。

 

ーーではそんななかで、演奏にとりかかるにあたって重視するのはなんですか?

 

ZENTA やっぱり曲ですね。曲調から自分たちの演奏を考えます。『空色ユーティリティ』の場合だとゴルフをプレイしているときの、青空が多いですよね。horitaさんはそういった景色をイメージしてデモを作ってらっしゃるので、僕らもそのイメージに対してアプローチしています。

 

ーーhoritaさんのデモについてはどこまで作り込まれているんですか?

 

ZENTA ひと通りの楽器が入っていました。ドラムやベース、ギターがあって、それを元にみんなで演奏する感じです。

 

遠藤 デモの段階でイメージしやすい内容になっていたので、「これが生演奏になったらこうなるんだろうな」というのを想像しながら録っていきました。

 

ーーそこからの演奏というのも、比較的デモ通りの演奏なのでしょうか?

 

ZENTA いや、そこは比較的自由にやらせてもらっていますね。それこそデモには入っていないフレーズもガンガン入れています。horitaさんの場合はミュージシャンを優先してくれるというか、「みなさんが考えて弾かれたほうがかっこいいんで、それをお願いします」と言ってくださるんですね。

 

大竹 そうですね。すごくやりやすい現場でした。

 

ZENTA 細かく指定されすぎると弾きづらいこともあるので、ミュージシャンに任せてくださるのはありがたいです。

 

遠藤 レコーディング中に、デモとは違うフレーズでも「こっちの方がいいかな?」って思ったものは遠慮なく叩かせてもらって、horitaさんに判断してもらうことは多かったですね。

 

ーーちなみに、今回のレコーディングで、楽器はどれぐらい備えてこられるのですか?

 

ZENTA 僕の場合は、自分のスタジオでレコーディングするので、アンプとかエフェクター関連はゴロゴロと置いている状態なんです。普段よそでレコーディングする場合はしっかりエフェクターボードを組んで臨むんですけど、今回は歪みのオーバードライブだったらその辺の1個を繋いで、みたいな感じで、曲によっていちいち差し替えながらやりましたね。

 

遠藤 僕の場合は基本のセットが殆ど一緒なんですけど、曲によってはスネアを替えたりしました。

 

ZENTA 普段から3個ぐらい持ってきているもんね。

 

遠藤 そうですね。「この曲には何が合うかな?」という選択肢はあったほうが絶対いいと思うので。

 

大竹 私はエレキベースのほかにコントラバスを持っていきました。マイクについてもZENTAさんのスタジオのものをお借りしました。

 

ーーエレキベースも複数持っていかれるんですか?

 

大竹 はい、エレキは4弦と5弦のふたつを持っていきましたので、合計3本ですね。

 

ーーちなみに基本的な質問ですが、ベーシックな4弦に対して5弦ベースを使うのはどんな機会になるんですか?

 

大竹 劇伴でも5弦を使いたいと思う機会は多いですね。音色が軽い感じの曲では4弦で弾くことが多いんですが、ちょっとシリアスな場面で流れる曲とか、ローをしっかり出したほうがいいときは5弦を使うことが多いですね。

 

ーーそれでは実際の演奏についてお伺いします。まずZENTAさんのギターに関してはアコースティカルなものも多く、全体的には軽やかなイメージがありますよね。

 

ZENTA そうですね。そこは女の子が主人公の、ゴルフを通した青春物語というイメージがあって、あとはやっぱり青空というものを大事にしているんだなという印象もあったので、音色もそういうものをめざしました。ただhoritaさんもいろいろな音楽が好きなので、そのミュージシャンのフィーリングを活かしてくれるんですよ。僕の場合ですともともとハードロック畑の人間なので、少し大人っぽいブルージーなフレーズも入れたりすると喜んでくれる(笑)。そうやって作曲家であるhoritaさんとコミュニケーションをとりながら録っていきました。

 

ーーリズム隊のおふたりは一緒にレコーディングされたんですか?

 

大竹 最初のレコーディングは別々でしたね。

 

遠藤 まずは僕から録りました。基本的にレコーディングはドラム、ベースの順番で録ることが多いです。

 

ーー最初のレコーディングは、デモの音源を聴きながらになるわけですね。

 

遠藤 そうですね。デモのベースやギターがあって、それがこのあと生の音に差し替わるんだろうなというのを想定しながら叩いています。

 

大竹 リズムはレコーディングの最初にやることが多いので、ドラムとベースは完成形を想像しながら弾きますよね。

 

遠藤 そうですね。軽やかな曲だったらほかの楽器も軽めに弾かれるんだろうなって想像したり。ロックだったら、喧嘩をしているような場面を想像して叩いてみたりしました。そこはアニメのシーンというより、僕の勝手な想像なんですけどね。

 

ZENTA わかる。我々が演奏したあとにほかの楽器も入って、アニメ本編では声やSEも加わるわけですからね。

 

大竹 私もいただいたデモを受けて、そこに寄り添った演奏をできるよう心がけています。やっぱりアニメを観ている方々に楽しんでいただけるような曲になったらいいなと思って。特に重視するのは感情で、きっとこの曲はこういうシーンで使われるんだろうなとか想像しつつ、そこに寄り添えたらいいなと思っています。

 

ZENTA horitaさんがどんなシーンで使われることを想像してこのメロディーを書かれたのか、それを僕らも感じながら演奏していくわけです。

 

ーーそのなかでもプレイで試行錯誤されたものもあったんですか?

 

ZENTA アコギですね。僕の場合は、ハードロックの人なので、そこまでアコギが得意かといわれるとそうでもないんですが今回すごく多くて。アコギの何が大変かというと、エレキとは違ってマイクの前で演奏しなくちゃいけない。そうするとマイクに向かう腰の動きやボディの向きで音が変わってくるんです。

 

ーーなるほど。エレキだとラインで録っているのでそこは気にしないですよね。

 

ZENTA それに、マイクで録るということは、ギター以外の音も拾っちゃうんですね。これは実際にあった話なんですが、自分で演奏したデータを聴いてみると、僕の鼻息も入っちゃっていて。自分では気づかなかったのですが、結構ふんがふんが言って弾いていたんですよ(笑)。

 

ーーそうしたマイクを使った収録ですと、コントラバスもそうですよね?

 

大竹 私は大丈夫だったと思います(笑)。コントラバスの場合は、マイクが下のほうで、だいたい膝ぐらいにあるので鼻息は拾わないかなと。

 

ZENTA でも演奏者によっては乗ってきて足踏みしちゃって、それを拾うこともありますよね(笑)。

 

大竹 そうですね(笑)。そういった意味では、ラインで録るより緊張します。1個のミスも許されない。これだけうまくいったのに、そのミスで台無しになってしまうこともあるんです。例えば弓で弾いていてピチカートの指弾きに変えるときに、弓がガチャって音を出しちゃうことがあるので、持ち替えの瞬間は緊張感が走りますね。あとは譜面をタブレットにしていると、譜面のページめくりを足のペダルでやるんですけど、そこも拾わないように気をつけています。

 

遠藤 実をいうと、僕もプレイ中に結構声が出ちゃうタイプなんですよ(笑)。ドラムは音が大きいので声を拾っちゃうというのはあまりないんですが、すごくしっとりとした曲で叩いたときに、口は閉じているんですけどずっとその曲のメロディーを口ずさんでいて、それを拾われたというのはあります。

 

ZENTA あったあった(笑)。

 

遠藤 レコーディング中はヘッドホンをしているので、無意識に出ちゃうんですよね。しっとりとした曲のときには喋らないことを意識しています(笑)。

 

ーーでは最後に、TVアニメ『空色ユーティリティ』を楽しんでいるみなさんにメッセージをお願いいたします。

 

ZENTA アニメを楽しんでいただきつつ、劇伴のギターにも注目していただければと思います。劇伴も、horitaさんが作られて、素敵なミックスをしていただいているので。あとはやっぱりアコギですね。頑張って弾いたのでそこも聴いていただければと思います。

 

大竹 私はやっぱりベースの音を。シーンに合った演奏を心がけているので、エレキベースとコントラバスの音の違いも楽しんでいただければうれしいです。

 

遠藤 僕は放送前に1話を観させていただいたんですが、アニメを観るとシーンと音楽がすごくシンクロしているんですよね。ほのぼのしたシーンが音楽によってより増幅されている。それがまた素敵だなって思って。もちろん音楽も聴いていただきたいんですけど、アニメと一緒に音楽も楽しんでいただけたらうれしいです。

 

TEXT BY 澄川龍一


 

TVアニメ「空色ユーティリティ」楽曲 配信中

「空色ユーティリティ」キャラクターソング01

青羽美波(CV:高木美佑)「My treasure!」

Streaming & Download:https://lnk.to/my_treasure

 

「空色ユーティリティ」キャラクターソング02

茜遥(CV:天海由梨奈)「Play well!!!」

Streaming & Download:https://lnk.to/play_well

 

「空色ユーティリティ」キャラクターソング03

星美彩花(CV:後藤彩佐)「Have a good Game」

Streaming & Download:https://lnk.to/HaveagoodGame

 

「空色ユーティリティ」挿入歌

高橋洋樹「Zubatto☆ショット 首ったけ!!!」

Streaming & Download:https://lnk.to/Zubatto_Shot_Kubittake

 

商品情報

2025年2月19日(水)発売

「空色ユーティリティ」キャラクターソング・ミニアルバム

PCCG.02429 / 3,300円(税込)

*ご購入はこちら:https://lnk.to/sorairo_HAMCD

 

2025年3月26日(水)発売

「空色ユーティリティ」オリジナル・サウンドトラック

PCCG.02431 / 4,400円(税込)

*ご予約/ご購入はこちら:https://lnk.to/sorairo_OST

 

TVアニメ「空色ユーティリティ」作品情報

TOKYO MX、テレビ神奈川、MBS、BS朝日ほかにて放送中!

 

CAST

青羽美波:高木美佑

茜遥:天海由梨奈

星美彩花:後藤彩佐

秋名泉美:花守ゆみり

田所昌夫(マサ):井上和彦

田辺長介(チョウ):堀内賢雄

田中哲弘(テツ):森川智之

 

STAFF

監督・キャラクターデザイン:斉藤健吾

シリーズ構成:佐藤裕

脚本:佐藤裕・皐月彩・水月秋

原案協力:望公太

色彩設計:武田仁基

美術監督:工藤義隆

撮影監督:呉健弘

編集:重村建吾・佐藤彩香

音楽・音響監督:daisuke horita

音楽制作:Yostar Pictures Sounds・ZENTA STUDIO

アニメ制作:Yostar Pictures

 

INFORMATION

HP:https://anime-sorairo-utility.com/

X:https://twitter.com/@sorairo_utility

YouTube:https://www.youtube.com/@sorairo_utility 

Instagram:https://www.instagram.com/anime_sorairo_utility/ 

TikTok:https://www.tiktok.com/@sorairo_utility

©空色ユーティリティ

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