石川県七尾市が舞台の『君は放課後インソムニア』が「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」2026年版に選定!茶谷市長が語る『君は放課後インソムニア』への想い、震災後の現在と未来のまちづくり

石川県七尾市が舞台となった『君は放課後インソムニア』(著・オジロマコト/刊行・小学館 以下『君ソム』)が、2月13日に一般社団法人アニメツーリズム協会が開催した「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」2026年版の聖地のひとつとして選定された。本作は、オジロマコト氏が七尾高校天文台をはじめ、能登の美しい風景を描いた作品で、TVアニメ・実写映画化もされている。
市長就任以前から『君ソム』との連携に尽力されてきた茶谷義隆市長に、本選定についてはもちろん、七尾市の”現在(いま)”と”これから”を伺った。

まず、今回『君ソム』が聖地88に選定されたことについて率直な感想を伺った。
「選定されたと聞いたときは、正直言って驚きました。震災後、『君ソム』被災地応援イベントを開催いたしましたが、定期的な情報発信はしばらく止まっていたからです。そのような中で、選定していただいたことは本当に嬉しく、これを機に『君ソム』ファンの方が増えて、能登にまた足を運んでくれる可能性が広がったと感じました」
『君ソム』や七尾市について初めて知る読者に向けて、市長はまず、七尾市の持つ魅力を紹介してくれた。
「七尾市は元々、港で栄えたまちです。海あり山ありの自然豊かなところで、そこから育まれる食が魅力のひとつ。特に、定置網で獲れる新鮮な魚介類は格別です。僕自身は幼少期、魚が嫌いでしたが、社会人になって一度七尾市を離れてから、こんなに新鮮でおいしいものを食べていたんだとあらためて気づきました」
食だけでなく、歴史と文化も深い。戦国時代には七尾城を拠点に畠山氏の文化が栄えた歴史を持ち、そこから育まれた祭りが盛んなことも特徴だ。
「特に5月に行われる青柏祭(せいはくさい)では、高さ20m、重さ20トンの巨大な山車・でか山が町中を動きます。また、向田の火祭など、地域にはワイルドな一面もあります。穏やかで落ち着いた人が多いと言われますが、お祭りでは一気にはっちゃける。そんな熱い文化を持つまちです」
しかし、人口減少が進む中で「自分の好きなまちの人口が徐々に減っていくのが寂しく、もったいない」という想いが市長を動かしている。
「市長になったのも、七尾市を多くの方に知ってもらい、訪れてもらうため。そしてこの地域で過ごしてもらえるような街にしていきたいと思っています」

そして、聖地・七尾市と『君ソム』の連携は、いくつかの “偶然”が重なり合って生まれたという。
「オジロマコト先生が作品の取材で能登を訪れた際、アテンドとして小学館の方から声がかかったのが、私の中学校時代の担任でした。担任が案内した先で、オジロ先生が我々の母校である七尾高校の天文台を見て、その静かな佇まいが不眠症(インソムニア)というテーマとイメージが一致した。これが舞台の中心が七尾高校になったきっかけです」
さらに、連載が始まると、茶谷市長の後輩である喫茶店・中央茶廊の店主が、作中の場面と実際の風景を対比させながらSNSで発信。その活動を通じて、茶谷市長と店主、作品の舞台となったきっかけを作った担任と小学館の方とつながり、聖地巡礼の企画が立ち上がったという。
「聖地巡礼にはオジロ先生も実は参加されていたそうです。まだ市長になる前の2019年12月ごろのことですが、『君ソム』がアニメや映画になったらいいね、という話をそのときにしていました。それが現実となり、七尾にとって大きなチャンスになった。市として、市民が盛り上げてくれたこのうねりに、何ができるかを考えて動いたのが実際です」

アニメ化・実写映画化が進む中で、七尾市はさまざまなコラボレーション事業を展開した。その中で市長が特に気にかけたのは、”まず地域の人に作品について知ってもらう”ということだった。
「TVアニメおよび実写映画の窓口を担ったポニーキャニオンさんと連携し、当市の観光交流課と組んで展開をしていく中で、本格的に対外的なプロモーションを行う前に、まずは地域の人に”なぜ観光客が写真を撮りに来ているのか”を知ってもらわなければならないと思ったんです。市からしっかりと発信し、受け入れる体制を作っていくという方針で進めました。地元が盛り上がってくれたからこそ、一過性の活動で終わらず、市全体で取り組むことができたのだと思います」
具体的には、2022年の七尾港まつりのポスターに『君ソム』のキャラクターを起用。作品にも登場するお祭りとの相性の良さだけでなく、市内いたるところにポスターが貼られることで、地元市民が作品について知る良いきっかけになった。
「アニメの最終回直後に開催された2023年の港まつりでは、キャストの声優の方々でトークショーも実施しました。またアニメの放送がスタートした4月より、七尾駅〜穴水駅間を走行するのと鉄道のラッピング列車の運行が開始され、現在も走っています。こうした息の長い取り組みを続けてこられたのは、市民の盛り上がりと、作品に関わった皆さまのおかげです」

そして話は、能登半島地震と、そこからの復興に移った。
「地震から2年が経過し、今、大型物件以外の解体が進んだことで、街中が空き地だらけになり、寂しいという声も聞かれます。しかし、これからはご自宅を建てられる方は建て、復興公営住宅の建設も進み、徐々に住まいとしては落ち着きを取り戻すでしょう」
一方で、事業再開の課題も残る。七尾市の観光の要である和倉温泉の本格的な再開には、あと2年ほどかかると見られている。
「この期間、人が来ないまちになってしまったら困る。だからこそ、復興に向けた取組を継続して行っています。今回の震災で初めて七尾市を訪れた応援職員やボランティアの方々が、七尾の食や景色の魅力を感じて「復興したらまた来ます」と言ってくれる。外からの力を借りて復興していかなければなりません」
市長は、2026年を”本格的な復興の元年”と位置づける。
「『君ソム』の聖地のような場所も、地震で壊れ、空き地になってしまったところもあります。しかし、私たちが残したいのは、都会的な発展ではなく、『君ソム』の中にあるような景色や風景です。壊れたものは新しくなりますが、祭りといった文化的なものは再開し、継続されていく。その根底にある”人とのつながり”を今まで以上に大切にしながら、復興させていきたいと思っています」

七尾市は今、大きな困難に直面しながらも、作品がつないだ人々の縁と、故郷への深い愛情を胸に、力強く立ち上がろうとしている。その姿は、夜明けを待ちながら星空の下で心を通わせる『君ソム』の登場人物たちとも重なる。
「奇跡的な偶然が重なって実現した『君ソム』の聖地という縁を大切に、これからも多くの人に七尾を届けたい」
市長の言葉から、七尾市は「アニメの聖地」にとどまらず、豊かな歴史と文化、そして人々の温かさを備えた“第二の故郷”として、再び多くの人を迎え入れようとしている。
聖地認定書・キャラクタースタンディー展示
場所:パトリア(七尾駅前にぎわい館)1階エレベーター横
石川県七尾市御祓町1番地(JR七尾線・のと鉄道七尾線七尾駅より徒歩2分)
期間:令和8年4月30日(木)~令和8年8月31日(月)※パトリアの営業日に準じる
時間:9時00分~17時00分
インフォメーション
『君は放課後インソムニア』
漫画公式サイト: https://bigcomics.jp/series/540e00b7bca49
映画公式サイト:https://kimisomu-movie.com/
TVアニメ公式サイト:https://kimisomu-anime.com/
関連リンク
七尾市役所:https://www.city.nanao.lg.jp/
のと鉄道ラッピング車両運行予定:http://www.nototetsu.co.jp/html/zikoku.html
©オジロマコト/小学館
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