【インタビュー】世界中のファンの熱い視線を浴びるアニメ『SSSS.DYNAZENON』!メインキャラクター・南 夢芽の繊細な魅力をスケールフィギュア化するまでの担当者の苦悩と努力に迫る!!

2021/6/23

ポニーキャニオン初のスケールフィギュア商品、アニメ『SSSS.DYNAZENON』のヒロイン・南 夢芽の1/6スケールフィギュアが2021年7月14日まで受注中。本商品を手掛けたのは、ワールドワイドにEC事業を展開しているコンシューマビジネス部の太田潤一郎と杜浩亮。ポニーキャニオンとして初めてのフィギュア商品化にイチから向き合い、製作過程でこれまで体験したことがない苦労を経て見つけた新たな魅力とは?そして今後事業としてどう見据えているのかをふたりに語ってもらいました!

 

資料を目にしたときに閃いた!?南 夢芽の魅力をファンに届けたい一心で作り上げたポージング!

——ポニーキャニオンにとって、初のスケールフィギュア商品となりますが、発売に至った経緯はどういった流れだったのですか?

太田 最初に、会社として従来のビジネスモデルから事業領域を拡大していくという大きなテーマの柱の一つとしてマーチャンダイジング事業の強化方針がありました。コンシューマビジネス部はポニーキャニオンの通販部門としてお客様とダイレクトに向き合う事業部であり、通販専用商品の企画制作も手掛けています。そこで、当社でアニメ事業を手掛けているアニメクリエイティブ本部と連携して、当社の関係アニメ作品でのフィギュア商品化プロジェクトとしてスタートしたのが本企画です。

——社内の複数本部間での“共創”に目を向けたということですね。

太田 フィギュアの市場は全世界に拡大し、商品のクオリティもどんどん進化しています。また、アニメのクリエイター陣も自身が描いた2次元のものが3次元になるというところに興味を持ってくださる方が多いんです。

——ちなみに、おふたりはフィギュアについて詳しいんですか?

 僕はアニメ好きなので、これ!と思ったものは買ったりするし、情報収集もまめにしていて。部署に配属されたばかりの頃は、その知識を活かして社外メーカーさんの商品を仕入れて販売していました。

太田 社内でイチから製作するのは今回が初なので、国内のフィギュア市場のリーディングカンパニーであり、本作品にも大きく関わられているグッドスマイルカンパニーさんと提携させていただき、フィギュア制作メーカーのファット・カンパニーさんをご紹介いただきました。フィギュア市場の現状や特性、販売方法に関するノウハウなどについて様々なサジェスチョンをいただける関係性の中で進行することができました。

 

——それは心強いですね。では、今回『SSSS.DYNAZENON』の中から、南 夢芽というキャラクターを選んだ理由は?

太田 まず、始めに『SSSS.DYNAZENON』の絵コンテや設定資料を拝見し、ヒロインの南 夢芽に決めました。ストーリーの中で、夢芽というキャラクターの繊細さやミステリアスな雰囲気に魅力を感じたので、それをフィギュアで表現し、ファンのみなさんに届けたいと思ったんです。

——アニメの制作はまだ初期段階の状況ですよね。

太田 そうです。ストーリーや設定を把握していないと、どんな表情でどんなポージングにするかイメージができないし、僕らはこれまで絵コンテを見る機会もなかったので苦労しました。

 本作は完全新作アニメで、小説やマンガといった原作がなく、絵コンテと設定資料で進行するしかありませんでした。

——今回、アニメ制作スタジオ「TRIGGER」による新規描き下ろしイラストをフィギュア化されています。

太田 まず、TRIGGERさんに描き下ろしを依頼するにあたり、フィギュアでしか表現できない南 夢芽の魅力をファンのみなさんに届けたいという想いが大前提にあったので、ファット・カンパニーさんにフィギュアメーカーとしての視点からポージングの提案をしていただいたんです。

 夢芽のキャラクター・イメージを元に、何パターンものポージング案をいただき、大きな刺激となりました。ただ、「フィギュアとしてもっとインパクトのあるポージングにできないか」と会議室で何時間も打ち合わせている中で、搭乗機「ダイナウイング」のコックピットに夢芽がリュックなどを無造作に置くカットが目に入ったんです。

太田 ”これだ!”と思って、そのカットを基に改めてファットさんからポージングを数パターンご提案いただいて。その間にもアニメ制作側からコックピットやコントローラーのディティールが上がってきたので、内容を詰めていきました。

 ファットさんに僕らの思うポージングでのラフな構成を固めていただいて、それを基にTRIGGERさんに描き下ろしていただいたんです。

——ポージングが先だったんですね!

太田 そうなんです。そこから完成イラストを基に、再度ファットさんの制作プロデューサーや原型師さんと詰めの作業に入りました。ただ、ここで壁にぶち当たりました。夢芽がコックピットの中で浮遊しているように見せるには、どうすれば良いかという。

——例えば、お尻に棒で固定されているのが丸見えだとガッカリしますね。

太田 まさに一番簡単な対処法はそれなんですけど、できればそうはしたくない。何度もファットさんとアイディアを出し合った結果、夢芽とコックピットとの僅かな隙間を活かして固定することができたんです。しかも、支えをどの角度からでもほぼ見えない仕様にしていただきました。

 

——フィギュアの画像を見て、どこで支えているんだろうと驚きました。その後はどのような進行だったんですか?

 原型師さんがパーツごとに原型を制作し、TRIGGERさんに監修していただきました。設定資料とここのスタイルがちょっと違うとか、服装のディティールとか。

太田 ここまでくると、僕らは円谷プロさんとTRIGGERさんの意向をファットさんに伝え、修正されたものをお戻しするというような橋渡し的な立ち位置になります。テーマがブレないように多面的に見ながら進行していました。

——客観的な視点が求められるわけですね。

太田 この1年間はひたすら確認作業をしていましたね。最初は、顔のパーツ感もなく色が塗られていないグレーの原型で各所に確認いただいていました。

——今、特設サイト上に公開されているフィギュアは?

太田 それはデコレーションマスターです。

 カラーリングを施した彩色見本のことで、展示会に出品されているのがデコマスです。生産する際には工場に送り、着色工程上での彩色見本となります。

太田 瞳が入り綺麗に彩色されたデコマスを見て、やってきたことが間違いじゃなかったと少しホッとしましたね。

——感慨深い瞬間ですね!では、特にここが苦労した!などありますか?

太田 彩色ですかね。夢芽の頭髪は頭頂部が薄いピンク色なのですが、施した彩色が紫だという指摘があって、色とは何だろう?と悩みました(笑)。デコマスは1体しかないので、制作過程上画像データでの確認で進めなければならないことも多くて。ただ、パソコンのディスプレイ設定など確認環境は個々で違うので、彩色についてはまとめるのにとても苦労しました。

——その苦労の甲斐があっての素晴らしい出来栄えなんですね。

太田 本当に。ひとえに、TRIGGERさん、ファット・カンパニーさんのおかげです。

 

苦労した甲斐があった!作品を見た世界中のファンからのリアクションに感激!!

——実際に完成品を見て、それぞれお気に入りのポイントはどこですか?

 僕は足のタイツの質感です。光沢具合がとてもリアルに表現されていて。全体通してヒロインの魅力が、フィギュアファンに喜んでもらえるクオリティになっていると思います。

太田 フィギュアファンはディティールにこだわる方が多いので、杜の言ったとおり納得していただけると思っています。僕は、わけもわからず戦いに参加することになった南 夢芽にとって、操縦席はアンリアルな世界だと思っています。その不思議な違和感を表現した、髪の毛や制服がふわっとしている浮遊感だったり、微笑んでもなく悲しんでいるわけでもない表情の仕上がりにとても満足していますね。

——現在、絶賛予約受付中ですが、ファンの方のリアクションはいかがですか?

 フィギュアの造形はキービジュアルが基になることが多いので見慣れているポーズが多いんです。今回は描き下ろしイラストということで、まず原画を先に発表したところ、SNSを中心に韓国、中国、ヨーロッパなどからも評判が良くて。その後にデコマスも公開したんですけど、「ポージングわかっているね!」というようなコメントをたくさんいただけて、苦労した甲斐がありました。

太田 アニメ本編ではストーリーが進むごとに、少しずつ仲間たちとの関係を深めていく夢芽の姿が描かれているので、放送ごとに夢芽に共感してくれるファンの方が増えているんですよ。6月に中国で開催される『ワンダーフェスティバル』にデコマスを出展するので、さらに海外でバズってくれたら嬉しいですね。

 

——世界中にたくさんのファンがいらっしゃるんですね。

太田 僕らとしては、フィギュア事業はワールドワイドに展開していくことをデフォルトにしていきたいですし、コンシューマビジネス部では2020年から海外在住者向けオンラインショップ・PONYCANYON SHOPを立ち上げていて、こちらでも販売しています。グッドスマイルカンパニーさんのECサイトとも連携した展開もしています。

——それでは、今後についてお聞きしたいのですが、第2弾、第3弾の構想はすでにあるのでしょうか?

太田 フィギュア製作のノウハウを経験できたので、進化させて事業として発展させていきたいと思っています。ただ、企画スタートから予約開始まで約1年。予約終了後に生産するのですが、海外の工場のラインを押さえるのが大変でお客様の手元に届くまで約1年。なので、約2年でワンセットのプロジェクトとなってしまうんです。

——世界的に需要が高まっていると生産事情もそうなりますよね。

太田 量産するための金型を作るのに大きなコストがかかるため、受注数が少なければ大赤字になるリスクがあります。そのためには、人気のIPを獲得し、売るためのプロモーション、工場のラインを事前確保したりとビジネスプランをしっかり立てないといけない。また複数の作品を同時進行していかなくてはビジネスとして成り立たないですね。「次の売り上げは2年後です」と会社に言えないですから(笑)。

——1作だけでも大変だったのに、同時に複数となると気が遠くなりますね。

太田 でも、アニメ、フィギュア市場は今後も伸びると思いますし、フィギュアが盛り上がることで原型師さんの数も増えて優秀な方たちが出てきているんです。しっかり企画制作環境を整えて、これからもチャレンジしていきたいですね。

 社内には、様々なIPを持つクリエイティブ本部があるので上手く”共創”して、今後発表されていく作品でも商品化を目指したいです。ファンの方たちに喜んでもらえるように頑張っていきます!

 

【商品情報】

商品名:南 夢芽(みなみゆめ)

作品名:『SSSS.DYNAZENON』

メーカー:Phat!

カテゴリー:1/6スケールフィギュア

価格:¥19,980(税込)

発売時期:2022年4月発売予定

受注期間:(日本時間)

2021年5月14日(金) 22:30から2021年7月14日(水) 23:59

仕様:ABS&PVC 製塗装済み完成品・1/6スケール・専用台座付属・全高約160mm

原型制作:ムタ(Phat!)

彩色:緋色(scarlet)

発売元:ポニーキャニオン

※商品の発売、仕様につきましては、諸般の事情により変更・延期・中止になる場合が御座います。

 

■予約サイト:

きゃにめ特設サイト

https://special.canime.jp/dynazenon_minamiyume/

グッドスマイルカンパニーオンラインショップ

https://goodsmileshop.com/ja/p/PCN_JP_00001

PONYCANYON SHOP(海外)

https://shop.ponycan.com/products/detail/1535

GOOD SMILE天猫旗艦店(中国)

https://detail.tmall.com/item.htm?spm=a212k0.12153887.0.0.4d7c687dFBGgnS&id=643437296762

 

『SSSS.DYNAZENON』公式サイト:https://dynazenon.net/

 

©円谷プロ ©2021 TRIGGER・雨宮哲/「DYNAZENON」製作委員会

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