スカート、10周年記念公演「真説・月光密造の夜」ライブレポートが到着!

2020/9/10

澤部渡のソロプロジェクト、スカートが9月5日に10周年記念ワンマンライブ『真説・月光密造の夜』を開催した。
優れたポップセンスとオルタナティブなサウンドによって、2010年代の音楽シーンにおいて際立った存在感を示してきたスカート。このライブは、4月11日に東京・日本橋三井ホールにて開催される予定だったCDデビュー10周年記念ワンマンの振替公演で、観客数を制限し、昼夜2公演で開催。夜公演は、生配信も行われた。
コロナ禍のなか、澤部の自宅からYouTube Liveで配信された『在宅・月光密造の夜』を計4回、さらに8月2日にはバンドセットによる『仮説・月光密造の夜』を配信し、国内外の音楽ファンから大好評を博したスカート。この日の公演では10年間のキャリアを代表する名曲、人気曲が次々と披露され、現時点での集大成と呼ぶべきステージが繰り広げられた。

 

開演前のBGMは、臼山田洋オーケストラのDJ。日本のポップスの名曲が流されるなか、適切な距離を保った観客がスカートによる半年ぶりの“生ライブ”のスタートを待っていた。会場の照明が落とされ、まずは澤部が一人でステージに登場。1stアルバム「エス・オー・エス」(2010年)の1曲目に収録された「ハル」をギターで弾き語り、叙情的な雰囲気を生み出す。同じく「エス・オー・エス」の収録曲「ゴウスツ」を歌い始めると、メンバーが姿を見せ、バンドスタイルへと移行。2016年リリースの1stシングル「静かな夜がいい」の心地いいグルーヴが響き、観客は着席したまま身体を揺らしはじめる。
「半年ぶりのバンドスタイルのライブになります。見に来てくださって、ありがとうございます」から、最初のMCへ。この半年間を振り返り、「想像もしていなかった未来ですね。スカートは、何てことのない暮らしだったり、ちょっとしたズレみたいなものを歌ってきたという気持ちがあるんですけど、こういう状況になると、こっち(スカートの歌の世界観)がSFみたいですね」という言葉から、最新アルバム「トワイライト」(2019年)の表題曲「トワイライト」へ。ノスタルジックな青春の風景を切り取った歌、洗練と生々しさを共存させたバンドサウンドが広がり、豊かな感動が会場を包む。
さらに力強いビートと切ないメロディが一つになった「ストーリーテラーになりたい」、ダイナミックなサウンドとともに強い感情をたたえたボーカルが響く「月の器」と個性豊かな楽曲が続く。古今東西のポップミュージックのエッセンスを吸収し、独創的な日本語のポップスへと昇華させるセンスを改めて体感できたことは、このライブの大きな意義だったと思う。

 

ここで澤部は、12月16日にニューアルバム「アナザー・ストーリー」をリリースすることを発表。本作は、自主レーベルで発表した初期の楽曲を再レコーディングした作品。「我々、今年デビュー10周年なんですけど、最初の4枚のアルバムは、それぞれにその時しかできない勢い重視の録音だとかを繰り返してきたので、とても素晴らしい録音環境が揃った今、改めて昔の曲を演奏したらどうなるのかみたいなことに興味があり、アルバム作っています」とコメントした。

 

ライブ後半では、「CALL」「ストーリー」といった人気曲を熱気溢れる演奏とボーカルとともに披露。「お客さんがいて、大きい音で楽器が鳴っているというのは久しぶりなので、感慨深いです」というコメントに導かれたのは、「駆ける」(サッポロビール「第96回箱根駅伝用オリジナルCM」)。さらにライブのタイトルになった「月光密造の夜」へ。高揚感に溢れた珠玉のポップソングによって、ライブ本編は終了した。
アンコールでは、「遠い春」(映画「高崎グラフィティ。」主題歌)を熱演。さらにアルバム「エス・オー・エス」収録の「ポップソング」を披露し、ここでライブは終了と思いきや、観客からの拍手は鳴り止まず、メンバーは再びステージへ。「またいつか、ライブハウスでもホールでもインターネット上でもいいです、また皆さんにお目に架かれればと思っています」という言葉とともに軽快なグルーヴの「返信」を演奏し、記念すべきライブはエンディングを迎えた。

 

デビューからの10年間を総括するようなステージによって、ポップ・マエストロとしての才能、エモーショナルなライブ・パフォーマンスの魅力を改めて示したスカート。12月16日に発売される「アナザー・ストーリー」を含め、今後の活動にも大いに注目したい。

 

Text by 森朋之

 

Live Photo by 廣田達也

 

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なお、スカート10周年記念公演「真説・月光密造の夜」のアーカイブ映像は9月20日まで配信されているので、是非チェックしよう。

 

◆10周年記念公演「真説・月光密造の夜」チケット販売URL【9月20日(日)21時まで】https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=2024172&rlsCd=001&lotRlsCd=

 

◆セットリスト
M1. ハル
M2. ゴウスツ
M3. 静かな夜がいい
M4. 視界良好
M5. トワイライト
M6. 君がいるなら
M7. ストーリーテラーになりたい
M8. 月の器
M9. 魔女
M10. ずっとつづく
M11. ラジオのように
M12. CALL
M13. ストーリー
M14. 駆ける
M15. 回想
M16. 月光密造の夜

 

EN 1. 遠い春
EN 2. ポップソング

 

W-EN 1.返信

 

■リリース情報
タイトル:『アナザー・ストーリー』
2020年12月16日(水)発売
収録曲:
M1. ストーリー

M2. セブンスター

M3. 返信

M4. ともす灯 やどす灯

M5. 月の器

M6. おばけのピアノ

M7. 千のない

M8. サイダーの庭

M9. スウィッチ

M10. わるふざけ

M11. ゴウスツ

M12. さかさまとガラクタ

M13. すみか

M14. 花をもって

M15. 月光密造の夜

M16. ガール

 

■スカート配信URL
https://lnk.to/skirtskirtskirt
■スカートオフィシャルHP
https://skirtskirtskirt.com/
■スカートTwitter
https://twitter.com/s_k_i_r_t?s=12
■スカートInstagram
https://instagram.com/skirt_oh_skirt?igshid=mqv1q286bvze
■澤部渡Twitter:
https://twitter.com/skirt_oh_skirt?s=12

 

■スカートPROFILE
どこか影を持ちながらも清涼感のあるソングライティングとバンドアンサンブルで職業・性別・年齢を問わず評判を集める不健康ポップバンド。
強度のあるポップスを提示し、観客を強く惹き付けるエモーショナルなライヴ・パフォーマンスに定評がある。2006年、澤部渡のソロプロジェクトとして多重録音によるレコーディングを中心に活動を開始。2010年、自身のレーベル、カチュカ・サウンズを立ち上げ、1stアルバム『エス・オー・エス』をリリースした事により活動を本格化。これまでカチュカ・サウンズから4枚のアルバムを発表し、2014年にはカクバリズムへ移籍。アルバム『CALL』(2016年)が全国各地で大絶賛を浴びた。
そして、2017年10月にはメジャー1stアルバム『20/20』を発表。昨年にはメジャー1stシングルとしてリリースした「遠い春」が映画「高崎グラフィティ。」の主題歌、カップリング「忘却のサチコ」が高畑充希主演のドラマ「忘却のサチコ」のオープニングテーマに起用された。そして、2019年にリリースした最新シングル「君がいるなら」には大泉洋主演映画「そらのレストラン」に書き下ろした主題歌と挿入歌を収録。
また、そのソングライティングセンスからこれまで藤井隆、Kaede(Negicco)などへの楽曲提供、ドラマ・映画の劇伴制作に携わる。更にマルチプレイヤーとしてスピッツや鈴木慶一のレコーディングに参加するなど、多彩な才能、ジャンルレスに注目が集まる素敵なシンガーソングライターであり、バンドである。

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